注目の市場調査 「ナンバーワン立証・検証調査」(No.1)

2016年11月22日

1. ナンバーワン広告とは

毎日の通勤電車、都内の混雑ラッシュ時は新聞や愛読書を広げるスペースを確保することは極めて困難で、胸元でスマホをいじることさえ憚られると感じている人は多いだろう。そのような時には、中吊り等の車内広告を眺めて降車までの時間を潰すのも悪くない。

筆者の場合、企業のマーケティングを支援する市場調査を生業としている職業柄、こうした広告に用いられる表現方法に目がいってしまう。特に注意を引かれるのが次のような訴求表現である。

「実績No.1」、「顧客満足度No.1」、「売上第一位」、「国内最小」、「日本初」

弊社が調査サービスメニューとして「ナンバーワン立証・検証調査」を展開していることもあり殊更強く意識してこれらの表現に注目してしまうのだが、そうした事情を差し引いても実に多くの広告でこうした最上級の表現を用いた商品・サービス訴求が行われていることに気が付く。

これらの最上級表現を「ナンバーワン表示」といい、ナンバーワン表示を用いた広告は「ナンバーワン広告」と呼ばれる。テレビ・ラジオのCMや新聞・雑誌広告、屋外広告など、様々な広告媒体で数多の企業が自社の商品・サービスを「○○No.1」と謳い、世の中にはナンバーワン広告が溢れている。

 

 

2. ナンバーワン広告のトレンド

ナンバーワン広告の実態を把握すべく、公正取引委員会は2007年に「No.1表示に関する実態調査」を実施している。同調査では、日常よく目にする表示の中からナンバーワン表示を行っているものを415点収集し、様々な分析を行っている。

データとしてはやや古い感は否めないが、ナンバーワン広告が近年急に始まったものでなく、むしろ、(起源は定かでないが)遥か昔から使い古された広告手法であることを鑑みると、この10年間で急激にそのトレンドが変化したとは考えにくく、現状を理解する上での参考データとして見る分には差支えないだろう。

まず、ナンバーワン広告が行われている商品を業種別に見ると、食品が22.3%と最も大きな割合を占めている。これに家電製品(18.7%)と化粧品(17.5%)が続き、この3業種カテゴリーで全体の半分以上を占めている。

 

 

No.1表示の業種別割合(商品)_2.gif

 

 

また、サービス分野では、学習塾が16.9%と最も大きな割合を占め、住宅関連リフォーム(12.4%)、住宅建築(11.6%)、携帯電話(8.8%)が続く。

No.1表示の業種別割合(サービス)_2.gif

 

 

同調査報告書において、業種別にどのような種類のナンバーワンが多いのかまでは報告されていないが、列挙された業種カテゴリーにおける有名ブランドの広告を思い起こせば、それぞれどのようなナンバーワンが多そうか想像がつく。食品であれば、「売上ナンバーワン」が多そうで、学習塾であれば「○○大学合格率ナンバーワン」、家電製品であれば「性能ナンバーワン」といったところだろう。

一方で、業種に関わらず全体としてのナンバーワンの種類については、以下のとおり報告されている。圧倒的な割合を占めるのが「売上実績」である(42.9%)。以降は顧客満足度(15.2%)、販売価格(10.4%)、サービス内容(10.1%)と続いている。

 

 

No.1表示の種類_2.gif

 

 

3. ナンバーワン広告の効果

このように多岐に渡る業界で、多くの企業が様々なナンバーワンを標榜し、ナンバーワン広告を行っているわけだが、果たしてその効果はいかほどのものなのか。広告の効果、これこそが世のマーケターが強く関心を寄せているところだろう。

この点について、公正取引委員会の同調査は消費者モニター193名に対する消費者アンケートを行い、以下のデータを報告している。

商品等を購入しようとする際に売上実績に関するナンバーワン表示を「よく参考にする」と回答した人は12.5%、「時々参考にする」と回答した人は67.7%、「参考にしない」と回答した人は19.8%である。

 

 

No.1表示の参考度合.gif

 

 

「良く参考にする」と「時々参考にする」の回答率は合算値で80.2%であり、8割の消費者がこうしたナンバーワン表示を商品等購入時に(時々であれ)参考にしていることがわかる。

このように数字で示されれば、多くの人が参考にしていることがわかるし、多くの企業がそれら広告を行っていることから間違いなく効果があるのだろう、と概ね納得できるが、もう『ひと押し』が欲しい方のため、突然だがクイズを出題したい。

 

第1問

日本で最も高い山は?

これに答えられない日本人はほぼ皆無だろう。そう、答えは富士山である。

 

第2問

日本で二番目に高い山は?

 

第1問は、ほぼすべての人が即座に回答できるはずだったのに対して、第2問に対して明確に自信を持って回答できる人は多くないだろう。

本コラムではあえて回答を記載しないので、気になる方はインターネット検索してほしい。

言うまでもなく、上記クイズはナンバーワンの効果を実感いただくためのものである。

一番高い山であれば「富士山」と答えられるが、二番目については多くの人が答えられない。

陸上100メートルで最も速い人、というクイズに対してはほとんどの方が「ウサイン・ボルト」と答えられるが、二番目はとなると答えられる人は激減してしまう。

(これもまた、あえて回答を記載しない)。

一位であることと二位以下であることの差は歴然としており、ナンバーワンである、ということはそれだけで人の記憶に強いインパクトを残す。

だからこそ多くの企業が様々な一位をめざし、一位を標榜し、ナンバーワン広告を行うのである。

かつて「二位じゃダメなのでしょうか?」と述べられた国会議員がいたが、少なくとも広告表記上はナンバーツーでは意味が無く、ナンバーワンでなければダメなのだ。

弊社では毎年多くの顧客企業より調査依頼を受け、様々な分野・種類でのナンバーワンを立証・検証する調査を行っている。そうした調査経験の中で培ったナンバーワン調査のノウハウを少しでも多くの方と共有する機会として本コラムを執筆するに至った。

 

 

日本能率協会総合研究所の「ナンバーワン検証・立証調査」はこちらをご覧ください。

 

 

初回はプロローグ的にナンバーワン広告の実態と効果について論じたが、次回はナンバーワン広告・表示における留意点について論じることとする。

コラム一覧

お悩みの方はお気軽にご相談ください

お電話での
お問い合わせ
03-6202-1281
Webからの
お問い合わせ
お問い合わせフォーム